未来を見通す力:時代と戦い、明日をつくっていく。 未来を見通す力:時代と戦い、明日をつくっていく。

「スニーカーって、
どんなお店で買っていますか?」

ところは原宿、渋谷、代官山。のちにイモトのフットウェア&アパレル事業部を立ち上げた男は、次々に街ゆく若者に声をかけていた。
ときは1990年代後半。まだスニーカーがスポーツ用品として捉えられていた時代。業界の常識を打ち破り、新たな販路としてアパレル・セレクトショップでのスニーカー販売を模索するなかでの現地調査だった。エンドユーザーの声をもとに、スニーカーをファッションアイテムとして扱ってもらうよう店舗への交渉を進めていった。

アスリート向けに開発された商品をファッションアイテムとして流通させる。いまではごく当たり前になった試みに、先駆けとして取り組んだのはイモトだった。
メーカーが考えるターゲットユーザーに囚われない売り方を見つけ、商品の価値を高めていく。

たとえば、こんな例もある。
「テコンドー用のシューズは、薄底で女性に人気のフラットシューズのように履いてもらえる。すでに人気のあったバレエシューズのようなイメージを打ち出すことで、ファッションアイテム化できました」(東京店 田中)
同じようにフットサル用シューズの流行も作りだした。

スポーツとファッションという2つのフィールドを自在に行き来することで、既存の商品に新たな輝きをもたらす。情報が目にもとまらぬ速さで流れていく時代の只中で、いま何が求められているのか?とアンテナを張り、求められている商品を探し出し、流行を作りだす。流行はやがてスタンダードとなって、人々のライフスタイルを変えていく。その代表例がスニーカーのファッションアイテム化であった。

「私も通勤するときは当然スニーカーです。もう戻れないですパンプスには。ウチがその流れを作ったと聞いて驚きました」
そう話すフットウェア&アパレル事業部三年目の奈良は、イモトの先達たちから受け継ぐフロンティアスピリットに女性ならではの視点を加え、時代に先駆けた提案を続けている。

スポーツにもファッションにも強い。脱スポーツ卸とでもいうべきイモトの姿勢は、スポーツ部門で培った流通力をともなって拡大している。

時代を捉えるための情報収集をくり返し、未来を見据えた展開に向けいち早く動く、しゃにむに動ける人材が揃っていることも、この力を高める原動力となっている。